影響力の武器 まとめ&書評のようなもの
概要
今回紹介するのは名著として知られるこの本になります。
この本では我々の日常生活の意思決定に知らずのうちに大きな影響を及ぼしている要素・現象を解説しています。またその現象が作用した実例を交えて紹介してくれているため、理解がしやすいです。分量は結構ありますが、章立て担っているためそこまで読みにくいわけでもないと思います
この本を知ったきっかけはだれかのブログの記事内で、営業マンは読んでおくべき!!という文脈で紹介されていたような気がします。読んでみてなるほどと思いました。というのはこの本で紹介されている事例を知っておけば相手の説得や交渉にも利用可能ですし、逆にそういったテクニックから身を守るのにも役立てることが可能だからです。
以下は思い出せるようにメモです。一応悪用厳禁です。笑
1.思考の近道(判断のヒューリスティック)
ある条件を見ると物事を判断してしまう。
- お願いには理由を添えると成功率が上がる
このときお願いの内容は関係なく、「ので」という言葉が入っているだけで良い。 - コントラストの原理
最初に感じたものが基準となる。 例)不動産の当て馬物件、車のオプションなど
特徴
- 要求された相手に対する好感度は関係ない
- 不平等なトレード
小さな恩義で大きなリターンがある。主導権は恩義を感じさせる側にある。 - 「拒否されたら譲歩法」について
拒否されるような要求をして断られた後に、本当の要求を提示する方法。この方法が非常に強力とされている理由はコントラストの原理と返報性の二つの力が働くからである。また譲歩された相手にとっては満足感を感じやすいことにもなりやすいことも理由として挙げられる。
3.一貫性の原理
「一度決定を下したりある立場をとる(コミットメント)と発生する、内部・外部から一貫した行動を取ろうとさせる圧力」について解説されていた。
強力な理由
- 一貫性を保つことによって社会から高い評価を受けやすいから
- 一貫性のある行為は、一般的に日常生活で有益であるから
- 内部的な圧力 - 自己イメージに沿った行動を取りやすくなる。
- 外部的な圧力 - 他者が自分に対し抱くイメージに沿った行動をとりやすくなる。
コミットメントが強力に作用する4条件
- 行動を含むこと
- 広く知られること(パブリック・コミットメント)
- そのコミットメントに対し努力を要すること
- 強制されたのではない(と本人が感じる)ものであること
長期向け承諾先取り法
最初に旨みのある条件を提示し、承諾を得た後に承諾の原因となった条件を取り消す方法。コミットメントをとることで最初の条件以外にも、コミットメントの柱が確立されていくため。
「書くこと」
以下の点で非常に強力なコミットメントとなりうる。
- 記録として残る
- 他者に簡単に公表できてしまう(パブリック・コミットメント)
なお人間は書かれたものに関しては、これは本人の考えであるとみなしてしまう傾向があるらしい。
例
会社の商品に関する575のコンテスト(行動、他者からの認知、努力、自主性と全て揃っている)
ちなみに、第二次世界大戦当時社会主義を掲げる中国政府が資本主義を掲げるアメリカ人捕虜を対象に行なった「エッセイコンテスト」がコミットメントの特性を巧妙に利用した例として紹介されていた。このエピソードが非常に印象に残った。
後、いわゆる「就活」が上記の強力に作用する条件を満たしているという事実に気付き闇を感じた。
4.社会的証明
社会的証明の原理
特定の状況で、ある行動を遂行する人が多いほど人はそれが正しい行動だと判断または真似をする。
- 条件
- ある行動をする人々と自分に類似性がある時
- どう振る舞えば良いのか不確かであること
- 集団的無知
ある教団の例や大観衆の中で一人が見殺しにされた事件が非常に興味深かった。。また、ジョーズタウンでの集団自殺が行われた事件が上記の二点を満たしている。孤島への集団移住(物理的・心理的な不確かさ)
そしてこの章を読んでる途中幾度も「就活」が頭をよぎった。。笑 以下引用です。
筆者から一言 - 社会的証明の原理が最も強く働くのは、ある状況において不慣れで不確かな気持ちを持っていて、どう行動するのがベストかを知る多面位自分の外にその証拠を求めなければならない人です。
5.好意
好意のある人物からの頼みや相談は承諾してしまいやすい。
好意をもたれる条件
- 外見の魅力(ハロー効果)
外見が魅力的であれば、その人の人格や能力も高く思われやすい - 類似性
同じ服とか、同じ境遇とか - 接触と共同
共通の目標に対して協力して行う作業とその回数。 - お世辞・賞賛
- 連合の原理
良い物事と関係があると良い印象、悪い物事と関係がある悪い印象になる。 無意識下で働き非常に協力。例)天候が悪い地域の天気予報士は嫌われやすい、車の隣に美女がいると男はその車を高く評価しがち。
- ランチョンテクニック
食事中に出た物事は好意的に受け取られる - スポーツチームのファンについて
ヨーロッパの地元のサッカークラブファンの異常な熱量も説明がつく。(地元が一緒という点で連合になっている。)
- ランチョンテクニック
6.権威
権威に対する服従は、基本的に合理的かつ得をすることが多いので思考が伴わない形で発生してしまう。
権威のシンボル
- 肩書き
高名な肩書きを持つ人の身長は実際よりも高く知覚されるという実験データが紹介されていた。 - 服装
仕立ての良いスーツ・警備員の制服が特に承諾を引き出しやすい - 装飾品
身につけているものの他、自動車などの使用しているものに対しても当てはまる
実態には関係なく上記の3点に対し、反応してしまう。
7.希少性
希少性の原理
手に入りにくいものの価値を実際よりも高く評価してしまう。
例) 数量の限定、期間の限定
心理的リアクタンス(心理的反発)
自由な選択が制限された時、自由を回復しようとする欲求から以前より強くその自由(サービスや物)を求める。例を挙げると
- 反抗期
親の権威性から自己の自由を獲得するための反発と考えることができる。 - 検閲
検閲をかけられたり独占的な情報(希少性の高い情報)はより価値が高く説得力があると判断される。
効果的に働く条件
- 通常の状態から新たに希少になった時
すでに制限されているものではなく、新たに制限されたものの方に価値を感じる - 競争
他人と競い合っている時 例)オークションなど
8.現代について
- 現代は膨大な情報や物に溢れているため情報処理能力が必要になる。
- その結果、豊富な情報をもとに時間をかけて行う意思決定のやり方から、単一の特徴だけに頼る意思決定のやり方に。
現代は手っ取り早い意思決定をしてしまいがち時代 であると言える。
そのような時代では今まで述べてきたような影響力の武器にしてやられやすいので気をつけよう。
というような警鐘を鳴らして本書は締められていました。